こんにちは、薄紅葵(うすべにあおい)です。
とある大学の保健室で勤務していたときのことです。
学生さんが保健室に来ました。
どうしたのか尋ねると、「こんなになっちゃったんです」とズボンをたくし上げて膝を出しました。
そこには立派なかさぶた(痂皮:かひ)ができていました。
「あら、立派なかさぶたね。」と私の声かけに、学生さんはピンと来ないようでした。
私は私で、学生さんが何を心配しているのかよく理解できずにいました。
「数日前に転んだんです。
毎日消毒していたのに、こんなになっちゃったんです。」とかさぶたを指差していました。
学生さんは続けました「肌がこんなに変な色に固くなっちゃったのは、怪我したせいですか?病気ですか?」
私は学生さんがかさぶたのことを心配しているのだと納得しました。
話を聞くと、子供の頃に転んでグチュグチュするような擦り傷は何度かできたことがあるそうです。
その傷は、いつも母親が消毒をして包帯を巻いくれたとのこと。
いつも、ピンク色できれいに治ったという記憶しかないとか。
母親にまかせていたので治る過程は見たことがない、かさぶたも見たことがないとのことでした。
どうして擦り傷がかさぶたになるのか、かさぶたを含めどのような過程で治るのかなどを説明しました。
最後に、「またいつでも来てね。」と伝えると、学生さんは安心して帰りました。
勤務期間中、このような学生さん2人に出会いました。
当時、私は自分が若かったので、「何でかさぶたも知らないの。このくらいのこと知っていて欲しい。ご両親も大切にしているのは解るけど、常識位教えて欲しい」と思いました。
けれども、子供達が成人した今は、伝えられることは限られていることを知りました。
解らないことは聞く、その時にいつどこで誰に聞くか判断出来ることが大事なのかなと思っています。
でもでも、かさぶたくらいは知っていてほしかったかな…。
この学生さん達も今はどこかで立派に活躍していることでしょう。
最後までお付き合いありがとうございます。
そしてまた、このブログに足を止めていただけるのを、心よりお待ちしております。